動物実験や細胞を使った実験においては緑茶に抗がん作用があり、それにはEGCGが寄与していることが、多数の研究で明らかになっています。人のがんに対しても同じ効果があるかどうかは、いろいろ結果があって、まだはっきりしていませんが、疫学調査研究や臨床試験で緑茶の抗がん作用が認められたという報告が増えてきています。例えば「胃がんに関する疫学調査研究で、女性に限っては、緑茶摂取による胃がんリスクの減少が認められた」という国立がん研究センター研究グループの報告があります①。また、岐阜大学の研究グループは、緑茶抽出物(「1.5g/日)投与の臨床的予備試験において、投与開始1年後(初回大腸腺腫切除2年後)の再発率は15%で、非投与の場合の再発率30%に比べて、大腸腺腫の異所性再発が抑制されたと報告しています。さらに、再発腺腫の大きさも緑茶抽出物投与群の方が小さいことが確認されました②。イタリアの研究グループは、臨床試験で緑茶カテキンが前立腺がんを予防することを明らかにしました③。緑茶カテキンを軟膏とした製剤が良性偏平上皮腫傷である性器いぼの治療に有効である。ことがわかり、2006年10月に薬剤としてアメリカ食品医薬品局の認可を受けました④。尖圭コンジローマや慢性リンパ球性白血病に対しても効果があることがわかり、今後、緑茶カテキンをベースにした種々の薬剤の開発が進められるものと期待されています⑤➅。出典①Gut.58:1323(2009).[19505880] ②CancerEpidemiolBiomarkPrev.17:3020(2008).[18990744]③CancerRes.66:1234(2006).[16424063]④PharmacolRes.64:100(2011).[21507345]⑤JAmAcadDermatol.66:883.el(2012).[22583721]➅Cancer.119:363(2013).[22760587]