碾茶(抹茶原葉)の合組

伝えたい宇治茶

山城には宇治川と木津川が流れている。いずれの流域も碾茶などの覆下茶の品質も微妙に異なってくる。木津川筋は平坦な砂地が広がっているが、砂混じりの土で育った茶は直根が地中深く入り、松のような濃い緑になる。このような碾茶の色を松の緑といい、城陽や八幡の茶の味はあっさりしてのどごしがいいのが特徴である。一方、宇治川は源流が琵琶湖にあるため土砂に流入が少なく、粘土質に近い赤土で育った茶は、竹のように浅い緑になる。これを竹の緑と呼ぶ。宇治や宇治田原の茶はうまみのある濃厚な味が特徴である。それぞれが優れた茶であるが、竹と松の二種類を取り合わせることによって、互の特徴を引き出し、香味ともに優れた抹茶が出来上がる。茶は在来園(雑種)の方がうまいという人がいる。雑種が隠し持つ良さがうまく調和したときなんとも深みがある茶ができる。では、在来園から優れた品種だけ選抜して栽培し、それらを組み合わせたら最高の茶ができるのではないか。そう考えたのが、宇治の平野甚之丞氏と小山政次郎氏であった。両氏によって戦後の品種化が進んだ。

品種の違い、茶園の場所、茶農家の肥培管理や天候によって荒茶は千差万別だ。その特徴をうまく掴んで組み合わせることによって、相乗的な効果を生み出すすことができる。「あさひ」「さみどり」など優良品種とそして茶問屋がもつ伝統的な合組(ブレンド)の技があって、品質は大いに向上した。今や茶道界のみならず抹茶は、スイーツの原料としても市民権を得るようになった。また「ブレンド」という言葉は、一般的に粗悪なものを混ぜて売るような悪いイメージでとらえられているが、事実はそうでないことを訴えておきたい。  月刊誌 あとれから。。。