お茶は理想的な機能性食品

食は「自分自身で健康をコントロールできる最も身近な手段である」ことから、食生活を改善するとともに、食品に含まれる機能性成分を多く、効率よく摂取することは、生活習慣病の予防に大変役に立つと考えられます。食品の機能は、栄養面での動き(一次機能)、味や香りなど嗜好面での動き(二次機能)、生理機能の向上、疾病の予防や症状の改善での動き(三次機能」に分類されますが、お茶は、嗜好性飲料として、また保健飲料として、主に二次及び三次機能をもつ食品にあたります。理想的な機能性食品の条件を挙げますと、お茶はこれからの条件を最もよく満たしている食品であるといえます。また、わが国のように栄養過多が生活習慣病を誘発させ、問題となっている社会においては、一般的に浸出液として飲むお茶は、その摂取カロリーがゼロに近いことや、食前食後あるいは食事中に水分補給ができるという大きな利点をもっています。現在お茶の三次機能を中心とした研究は世界的規模で行われていて、その発表論文数は10年前の約3.5倍にもなっており、緑茶や緑茶成分に関する報告がその6割以上を占めています。また、二次機能として、独特な香りを持つお茶は、ストレスを和らげ、やすらぎを与える手段としてこれまでも重要な役割を果たしてきたことは、言うまでもありません。強いストレスは様々な病気を誘発し、悪化させ、その進行を早めますが、お茶を飲むことによってストレスが和らぎ、人々の交流の場ができ、楽しみながら多種類の機能成分を摂ることができることになります。お茶は鎌倉時代から精神修養的な要素をもって広まり、また茶の湯という独特も精神文化生み出す、などして発展してきた食品でもあります。こにょうに二次と三次機能を合わせもつお茶は、その精神的文化と機能性の科学をさらに融合させることによって、健康に果たす役割の重要性が一層明らかになるものと思われます。