抹茶の風味の特徴と成分

抹茶特有の風味は、伝統的な被覆栽培技術とてん茶機による乾燥技術によって醸し出されます。日光を遮って茶葉を栽培すると葉は次第に薄くなり、より多くの光を求めようと、緑色色素の葉緑素(クロロフィル))含量は高まり、濃緑色に染まっていきます。また、被覆茶特有のうま味・甘みのテニアンを主体としたアミノ酸類が葉部に蓄積し、渋み苦味のカテキン類の生成は抑えられます。さらに被覆茶特有の香りである覆い香が発揚します。被覆栽培を行うことによって、茶生葉中にメチルメチオンスルホニウム塩(MMSC:別名ビタミンU)というアミノ酸の誘導体が増加します。栽培方法の違いによってメチルメチオンスルホニウム塩含有量の違いをみたもので、煎茶に比べて被覆茶に多く含まれてることがわかります。ビタミンUは抗潰性の微ビタミンで、胃腸薬にも使用されております。この誘導体は加熱すると簡単に分解し、ジメチルスルフィド(DMS)という青のり様の香り成分を生成します。この香りが覆い香の主体ともいわれます。(京都府農林水産技術センター 農林センター 茶業研究所資料参照)